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near は「ニア」じゃない——見落とされがちな3つの二重母音

car や bird の「舌を巻く」母音は、もうかなり練習したはずです。ところが near、hair、poor になると、同じやり方を使っても何かしっくりきません。

原因はシンプルで、この3つはそもそも別のルールで動いているからです。

「母音+舌を巻く音」ではなく、schwa に向かって滑る母音

イギリス英語の near、hair、poor には、専用の二重母音があります。言語学ではセンタリング・ダイフソング(中舌化二重母音)と呼ばれ、どれも曖昧な /ə/ に向かって滑っていくのが特徴です。

3つに共通する形はこうです。まず /ɪ/、/e/、/ʊ/ ではっきりした出発点に着地し、そこから舌をゆるめながら曖昧な /ə/ へ滑らせる。全体で1音節、1つの連続した動きで、途中に切れ目はありません。

よくある間違いは2種類

ひとつは、2拍に分けてしまうこと。near が「ニ・ア」のように途中で切れてしまいます。日本語の母音はどれも短く安定していて、ひとつひとつをしっかり発音してどこかに「着地」させる習慣があるため、本来ひと続きの滑りが2つの音節に分かれてしまうのです。

もうひとつは、car や bird のような舌を巻く発音を持ち込んでしまうこと。near が「ニアー」のようなアメリカ英語寄りの音になります。これはルールの取り違えです。アメリカ英語では確かにここで舌を巻く母音(r 音化母音)を使いますが、イギリス英語は滑る母音を使うので、2つのシステムは混ぜられません。

練習法:一筆書き、途中で止まらない

near で試してみてください。まず /ɪ/ の口の形を作ります(「イ」より少し力を抜いた感じ)。そこで止まらず、舌をそのまま緩めて曖昧な /ə/ に滑り込ませます。2つの音ではなく、ひと続きの1音として扱ってください。hair、poor も同じ動きで、出発点だけ /e/、/ʊ/ に変えます。

アメリカ英語を学んでいる場合は、この滑りは不要です。これらの語は単純に r 音化母音、/nɪr/、/her/、/pʊr/ になり、bird と同じ仕組みです。自分がどちらのアクセントを練習しているのか、まずそこを確認してください。

滑る音なのか、舌を巻く音なのか迷ったら——PHONO はカメラを向けるだけで、英文を単語ごとに IPA で表示し、米英どちらの音声も聞き比べられます。
ダウンロード:https://apps.apple.com/us/app/phono-english-phonetics-ipa/id6783243417 · phono.douhouse.com