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"cup" の「ア」と "about" の「ア」、実は別物です

多くの教材は、英語のあいまいな母音をまとめて「ア」と表記します。cup も「ア」、love も「ア」、about も「ア」。同じ音として練習してしまうと、力を入れるべきところが抜けたり、逆に抜くべきところに力が入ってしまったりします。

実はこの二つ、/ʌ/ と /ə/ というほとんど正反対の母音です。

/ʌ/ はれっきとした母音——強勢のある音節にしか現れない

cup /kʌp/、love /lʌv/、come /kʌm/、young /jʌŋ/。ここでの /ʌ/ は強勢音節の主役です。力の抜けた響きに聞こえますが、実体のある母音で、伸ばしたり強調したりできます。あごはそれほど大きく開きませんが、息の流れは安定していて、はっきり発音してかまいません。

/ə/(シュワー)は英語でいちばん弱い母音——強勢のない音節にしか現れない

about /əˈbaʊt/ の最初の a、a cup of tea の of /əv/、teacher の語尾 -er /tə/。これらはすべて /ə/ です。決まった強さの目標があるわけではなく、力を入れないこと自体がこの音の本質で、言ったか言わないかわからないくらいで十分です。

一つの単語の中に、両方の「ア」が同居することもある

above /əˈbʌv/ が典型例です。最初の a- は /ə/ に潰れてほとんど聞こえず、直後の -bove は強勢のある完全な /ʌ/。同じ文字、同じ単語なのに、前半は消え、後半はしっかり重みを持つ。これは偶然ではなく、強勢の位置が働いているからです。

文レベルでも同じ対比が起きます。a cup of tea。cup は内容語で強勢があり、/ʌ/ をしっかり発音します。of は機能語で強勢がなく、そのまま /əv/ に潰れます。二つの「ア」が隣り合い、片方は踏ん張り、片方は縮む。

この区別が大事な理由

多くの学習者は cup 単体では正確に発音できても、文の中に入ると「ア」をすべて同じように扱ってしまいます。全部を /ʌ/ の強さで発音すればロボットのように聞こえ、逆に love や young のような、本来強勢を持つべき語まで弱く発音してしまうと、相手は文のどこが要点なのか掴めなくなります。

この二つの母音を聞き分けることは、どこに力を入れ、どこで力を抜くかの練習であって、どちらかの音を正確に出す練習ではありません。

簡単な見分け方

その音節が、その単語やその文の中で強勢を受けているかどうかを自分に問いかけてください。受けているならしっかり発音して /ʌ/ の質感を出す。受けていないなら、正確さは気にせず短くあいまいに /ə/ へ寄せてしまってかまいません。

文の中でどの「ア」をしっかり出し、どこを弱めればいいのか迷ったら——PHONO はカメラを向けるだけで英文を単語ごとに IPA と強勢つきで表示し、/ʌ/ と /ə/ を一目で見分けられます。米英どちらの音声も聞けます。
ダウンロード:https://apps.apple.com/us/app/phono-english-phonetics-ipa/id6783243417 · phono.douhouse.com