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標題:「コーヒー」に f が残らない理由——混同されやすい /f/ と /h/

coffee は日本語では「コーヒー」。f の音がどこにも残っていません。偶然ではなく、日本語の音の体系にそもそも英語の /f/ に対応する音がなく、代わりに近い響きの h 行が使われてきた結果です。この置き換えの癖は、日本語の外来語処理の中だけでなく、そのまま英語を話すときの発音にも残りがちです。fan のつもりが han に、fill のつもりが hill に近づいてしまう——これが今回のテーマです。

摩擦が起きる場所がまったく違う二つの音

/f/ は唇歯摩擦音です。上の前歯を下唇に軽く触れさせ、その狭い隙間から息を押し出します。摩擦は口の前方、唇のあたりではっきり起こり、鏡で見えるし、手の甲を当てれば息の流れも感じられます。

/h/ は声門摩擦音です。唇も舌も歯も、何もしません。口の形は次に来る母音のままで、摩擦は喉の奥、声門のところで起こります。実質的には唇をまったく動かさない、聞こえる吐息です。

似た「息っぽさ」でも、起きている場所はまったく別

鏡を見ながらこの組を発音してみてください。f 系の単語では上の前歯が下唇にしっかり触れているはずです。h 系の単語では唇はまったく動かず、喉から息だけが出ているはずです。もし両方とも唇の動きが同じに見えるなら、二つの違う音を同じ口の動きで済ませてしまっているということで、それがこの混同の正体です。

なぜこの組み合わせで混ざりやすいのか

日本語のふ行の子音は、唇を丸めて息を摩擦させる音([ɸ])で、英語の /f/(歯と唇)とも /h/(喉)ともどちらとも少しずつ違います。しかも歴史的に、外来語の中で英語の /f/ を h 行で代用してきた例が積み重なってきました。「コーヒー(coffee)」「ハンカチ(handkerchief の一部)」のような借用のパターンが、無意識のうちに「f っぽい音は h で処理してよい」という感覚を育ててしまいます。耳がこの二つを厳密に別カテゴリーとして区別する訓練を受けてこなかった以上、口も自然には二つの違う動きを作りません。

練習法:耳より先に、口の動きを確認する

いきなり聞き分けようとするのではなく、まず口が実際に二種類の動きをしているかを確認してください。f の単語では前歯が下唇に触れているか、h の単語では唇がまったく動かず喉だけで息を出しているか。fair/hairfill/hill のようなペアを、母音はそのままに、出だしの動きだけを変えて繰り返し練習します。動きがはっきり違ってくれば、耳はあとから自然についてきます。

ある単語が唇の摩擦(f)なのか喉の摩擦(h)なのか、すぐに確認したいときは。PHONOはカメラを英文に向けるだけで単語ごとにIPAを表示し、米英どちらの発音も聞き比べられます。
ダウンロード:https://apps.apple.com/us/app/phono-english-phonetics-ipa/id6783243417 · phono.douhouse.com