発音しない e が、前の母音の読み方をまるごと変える——mad が made になる理由
mad と made、cut と cute、hop と hope。スペルはたった一文字違いで、しかもその一文字は発音されないのに、母音の音はまったくの別物になります。多くの学習者はこの語尾の e を二通りの間違った方法で扱いがちです。完全に無視して made を mad と同じように読んでしまうか、逆に律儀に読んで余計な音節を足し、made を「メイド」のように二拍で発音してしまうか。
この e は確かに発音しません。でも「何もしていない」わけではなく、スイッチの役目をしています
英語のスペルには、通称 magic e(構造で言うと CVCe:子音・母音・子音・e)と呼ばれる、非常に安定したパターンがあります。1音節の単語が「母音+子音+e」で終わるとき、その語尾の e 自体は音を持ちませんが、間に子音を一つ挟んだ前の母音を、短母音からいわゆる長母音——アルファベットの名前読みそのもの——に変えてしまいます。
五つの母音字すべてが同じルールに従います。
- a:mad /mæd/ → made /meɪd/、cap /kæp/ → cape /keɪp/
- i:kit /kɪt/ → kite /kaɪt/、pin /pɪn/ → pine /paɪn/
- o:hop /hɒp/ → hope /həʊp/、not /nɒt/ → note /nəʊt/
- u:cub /kʌb/ → cube /kjuːb/、cut /kʌt/ → cute /kjuːt/
- e:いちばん珍しいパターンですが仕組みは同じ。them /ðem/ の短い e と、these /ðiːz/ の長い e を比べてみてください
どの組も、スペル上の違いはこの一度も声にならない一文字だけなのに、二文字先の母音の音質をまるごと変えてしまうわけです。
なぜこんな不思議なルールがあるのか
これは偶然の産物ではありません。中英語の時代、この語尾の e は実際に発音されていました。たとえば name は当時二音節で、語末にはっきりした母音がありました。その後、英語では長母音の発音が大きく変化する出来事が起こり(歴史言語学では大母音推移と呼ばれます)、同じころ、強勢のない語尾の e はまったく発音されなくなりました。ところがスペルの方は更新されないままでした。その結果、この e は一種の化石として残ったのです——もう音は持たないけれど、昔からずっと「この前の母音は長母音である」という目印であり続けています。
このルールを初見の単語に使う方法
このルールの本当の価値は、見たことのない単語でも正しい読み方を推測できる点にあります。1音節の単語の形を見てください。「母音+子音+子音」で終わっていれば(閉音節)、mad や hop のように母音は短く読みます。「母音+子音+e」で終わっていれば、made や hope のように母音は長く、e は黙ったままです。plan と plane、strip と stripe、rob と robe——すべて同じ判定方法で読めます。
練習法:両方の音を実際に出して、その違いを感じる
kit / kite のような組で試してみてください。まず短い方を発音——短く、はっきりと切る感じで。次に長い方を発音し、母音がただの短い音から、より豊かで滑るような音に変わる感覚をつかんでください。何組か繰り返すうちに、語尾の e を見た瞬間に耳が自動的に反応するようになります。単語ごとに発音を丸暗記するより、ずっと速く身につきます。
初めて見る単語の母音が短いか長いか迷ったら——PHONO はカメラを向けるだけで、英文を単語ごとに IPA で表示し、長母音と短母音がひと目でわかります。米英どちらの音声も聞けます。
ダウンロード:https://apps.apple.com/us/app/phono-english-phonetics-ipa/id6783243417 · phono.douhouse.com