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boat は /boʊt/、broad は /brɔːd/——同じ oa なのになぜ読みが違うのか

boat、road、coat の oa は、誰でも自然に「オウ」と読めます。ルールは単純に見えるからです。ところが broad や board に出会うと、同じ感覚でつい読んでしまい、外します。実は oa の読み方は一つではなく、この三パターンを並べて説明してくれる辞書はほとんどありません。

ルール1:oa の後ろに子音(r以外)が来ると /oʊ/

もっとも基本的で、日常語のほとんどがこのパターンです。

(イギリス英語では /oʊ/ の代わりに /əʊ/ を使い、出だしがやや中央寄りになりますが、ルール自体は変わりません。)oa の後ろに t、d、p、l、m、n などの子音が来たら、このパターンで読んで問題ありません。

ルール2:oa の後ろに r が来ると /ɔːr/(米)/ ɔː/(英)

母音の直後に r が来ると、母音の形が変わってしまう現象は oa に限った話ではありません。多くの母音が r の前で変化する、その一般ルールがここでも顔を出しているだけです。

並べてみると分かりやすいです。road /roʊd/ と board /bɔːrd/ は、同じ oa+d という綴りなのに、r が一つ挟まるだけで母音がまったく別物になります。

本当の例外:broad と abroad

broad /brɔːd/、abroad /əˈbrɔːd/ には r がまったくありません。ルール1に従えば /broʊd/ になるはずですが、実際にはルール2と同じ母音で読まれます。これは歴史的な例外で、この二語だけが数百年前に独自の音変化を起こし、他の oa グループから外れてしまいました。結果として、綴りは road や boat とまったく同じなのに、発音は board 側になる、という食い違いが生まれています。broad と road は一文字違いなのに母音がまったく重ならない、oa の中でもっとも紛らわしいペアです。

cupboard:発音がここまで縮む

cupboard は文字どおり cup + board で、後半は /bɔːrd/ と読みたくなります。しかし一つの複合語として強勢を持たないため、後半は極端に弱まった /bəd/ にまで圧縮され、単語全体は /ˈkʌbəd/ になります。o・a・r という文字は、音としてはほとんど残っていません。複合語の強勢のない後半部分は、綴りから想像するよりずっと圧縮される、という良い例です。

練習法

三つのグループを対比させて読んでみてください。boat / road / coat(ルール1)――board / roar / soar(ルール2)――broad / cupboard(例外)。それぞれで口の形と母音の長さがどう変わるかを体で覚えれば、次に知らない oa の単語に出会ったとき、反射的に「オウ」と読むのではなく、後ろに続く文字を見てから判断できるようになります。

初めて見る oa の単語がどのパターンか分からないときは、PHONO でカメラを向けるだけ。英文を単語ごとに IPA で表示し、米英どちらの音声も聞けます。
ダウンロード:https://apps.apple.com/us/app/phono-english-phonetics-ipa/id6783243417 · phono.douhouse.com