pin の p には息が出て、spin の p には出ない——s の後ろで消える気息
多くの学習者は p/t/k を「無声音か有声音か」、つまり b/d/g との対立でしか意識していません。ですが spy や stop や sky で発音がすぐにばれてしまう本当の理由は、清濁ではなく、同じ p も t も k も、置かれる位置によってまったく違う動き方をすることにあります。
同じ文字の p でも、動きは別物
pin と spin、どちらにも p がありますが、この二つの p は同じ動作ではありません。
- pin /pɪn/ ——唇でいったん息をせき止め、破裂と同時にはっきりした息の塊が漏れてから母音に入ります。口の前に手をかざすと、はっきり感じられます。
- spin /spɪn/ ——唇が開く瞬間、ほとんど息が出ません。そのまま母音へ滑り込みます。
気のせいではなく、これはルールです。強勢のある音節の頭に p・t・k が来ると、息を伴って発音される——狭い表記では [pʰ] と書きます。ところが同じ音節の中で直前に /s/ があると、この息はきれいに消えます。[p]、息なし。
t と k でも同じパターン
- top /tɒp/ 有気 [tʰɒp] —— stop /stɒp/ 無気 [stɒp]
- cat /kæt/ 有気 [kʰæt] —— scat /skæt/ 無気 [skæt]
- pie /paɪ/ 有気 —— spy /spaɪ/ 無気
- kill /kɪl/ 有気 —— skill /skɪl/ 無気
- tar /tɑː/ 有気 —— star /stɑː/ 無気
ルールは単純です。同じ音節の中で s が p・t・k の直前に来ると、その破裂音は息を失います。
日本語話者にとって、ここがつまずきやすい理由
日本語の音節はもともと子音一つに母音一つが基本で、s と破裂音が同じ拍の中でぶつかること自体がありません。カタカナ外来語で stop が「ストップ」、sky が「スカイ」になるのも、s と t、s と k のあいだに母音が割り込んで、それぞれ別々の拍になっているからです。
英語をそのまま子音連続として発音できるようになった後でも、その次に残る細部がこの「息の有無」です。s の直後の p・t・k に、頭についた p や t と同じだけの息を乗せてしまうと、単語全体が重たく、一拍分長く聞こえてしまいます。stop が stop らしく軽く一息で終わるかどうかは、この消えるはずの息が本当に消えているかどうかにかかっています。
見落としがちな点:音節の切れ目が変わるとルールも変わる
mistake は mis-take と切れるので、s と t は別々の音節に属し、t はふつうに有気音になります [mɪˈsteɪk]。一方 stake は s と t が同じ音節の頭にあるので無気音 [steɪk]。並んでいる文字の順番は同じでも、音節がどこで切れるかでまったく逆の結果になります。
練習法:理論より紙一枚
口の前に紙を一枚かざして、pin–spin、top–stop、cat–scat、pie–spy、kill–skill、tar–star を続けて言ってみてください。それぞれのペアの最初の語では紙がはっきり揺れ、二番目の語ではほとんど動かないはずです。「有気音」「無声音」といった用語を覚えていなくても、紙が答えを教えてくれます。
ある単語の破裂音に息をつけるべきかどうか迷ったら——PHONO はカメラを向けるだけで英文を単語ごとに IPA 表示し、米英どちらの音声も聞けます。自分の耳で何度でも確認できます。
ダウンロード:https://apps.apple.com/us/app/phono-english-phonetics-ipa/id6783243417 · phono.douhouse.com