climb の b は言わない、でも number の b は言う——線引きはどこ?
climb、doubt、thumb ——どれも綴りはすぐに書けるのに、いざ声に出す段になると「この b は読むのか、読まないのか」で止まってしまう人は多いはずです。
答えは二つの、まったく別の話に分かれます。しかもどちらも見た目より規則的です。
ルール1:語末の -mb は、b を必ず読まない
climb /klaɪm/、comb /kəʊm/、thumb /θʌm/、crumb /krʌm/、lamb /læm/、limb /lɪm/、bomb /bɒm/、tomb /tuːm/、numb /nʌm/、dumb /dʌm/。共通点は、b の直前が m で、しかもその m が単語(または語幹)の最後の音になっていることです。
これは綴りの罠ではなく、発音の歴史がそのまま残った結果です。climb は古英語では climban と書かれ、当時は b も実際に発音されていました。中英語の後期にかけて、語末でわざわざ b を出す労力が省かれ、音だけが簡略化されました。綴りはそのまま残ったので、今見ている b は「千年前の発音の化石」だと考えるとしっくりきます。
接尾辞を付けても b は戻ってきません:climbing /ˈklaɪmɪŋ/、bomber /ˈbɒmə/、numbness /ˈnʌmnəs/、plumber /ˈplʌmə/。日本語話者はローマ字読みの感覚で「書いてある文字は基本的に全部音になる」という前提を持ちやすく、そこに「後ろに母音が続けば子音が復活する」という英語のリンキングのイメージも重なって、つい b を読みたくなります。でもこの b は接尾辞が付くはるか以前、もう何百年も前にその単語の発音から消えています。存在しない音は、いくらつなげても復活しません。
落とし穴:語末でない -mb は、b をしっかり読む
number /ˈnʌmbə/、chamber /ˈtʃeɪmbə/、timber /ˈtɪmbə/、amble /ˈæmbl/、tremble /ˈtrembl/、gamble /ˈɡæmbl/ ——これらの b は例外なく発音します。
違いは綴りではなく「位置」です。climb や thumb では、b はかつて単語の一番端、後ろに何も続かない位置に立っていました。それこそが英語で子音が簡略化されやすい場所です。一方 number や chamber、timber では、b の後ろには常に母音がある独立した音節が続いていて、単語の端に追いやられたことが一度もありません。だから消える理由がなかったのです。
「mb=b は読まない」というルールを覚えたばかりの人ほど、number まで「ナマー」のように読んでしまいがちです。これは元の間違いよりもかえって目立ち、「ルールを最近覚えた人」だとすぐにばれてしまいます。
別の話:-bt は、b がそもそも一度も発音されたことがない
debt /det/、doubt /daʊt/、subtle /ˈsʌtəl/、そして派生語の doubtful、subtlety。見た目は climb の仲間に見えますが、歴史はまったく逆です。これらの語はフランス語から英語に入った時点で b の音を持っていませんでした(debt は古フランス語 dette、doubt は doute)。ルネサンス期の学者たちが、ラテン語の語源(debitum、dubitare)を綴りの上で示すために、あとから b を書き加えただけです。誰もその b を声に出したことは一度もありません。音が消えたのではなく、最初から音になったことがない文字なのです。
練習法:ルールとして覚えるものと、リストで覚えるものを分ける
語末の -mb は本物の規則で、新しい単語に出会っても応用できます。-bt は閉じた短いリストで、debt、doubt、subtle とその派生語を覚えればほぼ全部です。本当に練習が必要なのは、number、chamber、timber、tremble のような「mb 語末に見えて実は違う」反例のグループです。ここだけは声に出して、b を消さない練習を意識的にしてください。
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