scissors はなぜ「スク」と読まないのか——発音されない C の話
scissors、science、muscle。意味も綴りもすでに知っている単語のはずです。でも実際に声に出すと、真ん中の c のところでつい /k/ を足してしまったり、余分な音節を入れてしまったりしがちです。ネイティブの発音では、その c は完全に無音です。
これは一部の単語だけの例外ではなく、英語には「発音されない C」というはっきりしたグループが存在します。
パターン1:sc が e/i/y の前に来ると、c は s の影になる
英語には、c が e・i・y の前で軟音 /s/ になるという規則があります(hard/soft c・g の話と同じ規則です)。ところが c の前にすでに s がある場合、s はもともと /s/、c もまた /s/ を出そうとして音がぶつかります。英語はこの衝突を、片方だけを残すことで処理します。つまり sc が e/i/y の前に来ると、まとめて一つの /s/ として発音され、c は綴りの上だけに残ります。
- scissors /ˈsɪzəz/ —— はさみ。末尾の s が /z/ になる点にも注意
- science /ˈsaɪəns/ —— 冒頭の sc はただの /s/
- scene /siːn/ —— 「スク・イーン」ではない
- muscle /ˈmʌsəl/ —— 途中に /k/ はない
- ascend /əˈsend/、crescent /ˈkresənt/、fluorescent /flʊəˈresənt/、obscene /əbˈsiːn/
パターン2:理由もなく c が消える少数の単語
sc の組み合わせとは関係なく、前に s もないのに c だけが丸ごと消えてしまう単語もいくつかあります。古い綴りがそのまま残っているだけです。
- indict /ɪnˈdaɪt/ —— 起訴する。この c は完全に無音で、綴りを見て初めて気づくネイティブも少なくありません
- Connecticut /kəˈnetɪkət/ —— アメリカの州名。最初の c は読みません
- czar /zɑː/ —— ツァーリ。ここでは c は /s/ の代わりですらなく、語全体が /z/ で成り立っています
見分け方
c の前が s かどうかを見ます。sc の直後が e・i・y なら(scissors、science、scene)、ほぼ確実に一つの /s/ にまとまり c は消えます。sc の直後が a・o・u なら(scan、score、scuba)、両方の文字がそれぞれ音を出し /sk/ になります。indict、Connecticut、czar のような例外は前に s がないため、パターンに頼れず一語ずつ覚えるしかありません。
練習法
scissors、science、muscle を続けて三回発音し、c の位置ではあえて何もしないようにしてみてください。s から後ろの母音へそのまま滑らせます。存在しない /k/ に力を使わなくなった分、むしろ発音がなめらかになるはずです。
どの文字が発音されないのか、自分では判断しづらいときは——PHONO はカメラを向けるだけで英文を単語ごとに IPA で表示し、どの文字が消えるのかが一目でわかります。米英どちらの音声も聞けます。
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