Wednesday の d は、実は辞書にも最初から存在しない
n のあとに d が続くと、そのまま発音しそうに見えます。でも、その d の直後にさらに別の子音が続くとき、d はほぼ消えます。しかも一部の単語では、これは「早口だから省略される」のではなく、辞書に載っている標準の発音そのものに、はじめから d が存在しません。
規則1:この3語は、標準の発音に d が最初からない
- Wednesday /ˈwenzdeɪ/ —— 綴りは W-e-d-n-e-s-d-a-y だが、"Wed" の直後の d は完全に無音。全体は「ウェンズデイ」に近い音になる
- handsome /ˈhænsəm/ —— n と s の間の d が消える
- handkerchief 英 /ˈhæŋkətʃɪf/ 米 /ˈhæŋkərtʃɪf/ —— n と k の間の d が消える(この k の影響で n も /ŋ/ に変わる)
これらは「速く言うと省略される」のではありません。辞書を開けば最初からこの発音記号が載っています。d がないのが省略版ではなく、標準そのものです。
規則2:hand- / sand- / grand- 系の単語は、場面と速度で d の有無が変わる
同じく n → d → 別の子音という並びでも、こちらのグループの d はもっと流動的です。ゆっくり丁寧に話すときは残ることがあり、普段の会話ではほぼ消えます。
- handbag 英 /ˈhænbæɡ/ —— この語は辞書の標準発音自体、すでに d を含まない
- sandwich —— 丁寧に言えば /ˈsændwɪtʃ/、日常会話では /ˈsænwɪtʃ/ になり d が消えることが多い
- grandma —— 丁寧に言えば /ˈɡrænmɑː/、日常会話では /ˈɡræmɑː/ になり、n がそのまま後ろの m に流れ込む
- grandpa —— 丁寧に言えば /ˈɡrænpɑː/、日常会話では /ˈɡræmpə/
このグループの d は絶対のルールではなく、「省けるなら省く」という傾向です。くだけた場面ほど消えやすくなります。
なぜこうなるのか——鼻音と別の子音に挟まれた d は、真っ先に犠牲になる
/d/ は破裂音で、舌先を歯茎に押し当ててから離すという動作が必要です。ところがその直前に鼻音の /n/、直後にさらに別の子音(s、k、b、m、p など)が続くと、口は「鼻音→破裂音→破裂音(または鼻音)」という3つの動作を、ごく短い時間の中でこなさなければなりません。真ん中の d を飛ばして /n/ から次の子音へ直接滑らせるほうが、動作が少なく、はるかに効率的です。それでいて聞き取りにはほとんど影響しません。前後の音がすでにその単語の輪郭を十分に伝えているからです。
Wednesday、handsome、handkerchief は、この「省略」が何百年も前に口語で起こり、それが広く定着して、やがて標準の発音として固定された例です。一方 sandwich や grandma は、まさに今もこの省略が起きている最中の例で、まだ「これが正解」というひとつの形に固まりきっていません。
子音が連続する発音に慣れていない学習者にとって、これはむしろ朗報です。新しい音をもうひとつ覚えろと言われているのではなく、ひとつ発音しなくていいと許可されているのです。
練習法:どれが固定ルールかを先に区別してから、残りは気楽に省く
Wednesday、handsome、handkerchief の3語は、最初から d なしのまま覚えてしまってください——あとから d を足すほうが、むしろ間違いです。sandwich、grandma、grandpa、handbag については、d ありとなし、両方の言い方を声に出してみて、d を省いたときの口の動きの軽さとテンポの良さを感じてください。日常会話では、省略した言い方を遠慮なく使って大丈夫です。
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