listen の t はどこへ消えた?「発音しない t」を持つ単語たち
listen の綴りには確かに t があります。何度音声を聞いても、その t は聞こえてきません。それはリスニング力の問題ではなく、そもそもその t は発音されていないのです。
まずはこの単語群、どれも t を発音しません
- listen /ˈlɪsən/ ——「リス・テン」ではなく「リスン」
- castle /ˈkɑːsəl/(英)/ˈkæsəl/(米)——「キャッスル」の t は無音
- fasten /ˈfɑːsən/ ——fashion とは無関係だが t は同じく消える
- whistle /ˈwɪsəl/ ——「ウィスル」
- often /ˈɒfən/ ——伝統的な発音では t を読まない。/ˈɒftən/ と読む人もいて、どちらも正しい
- soften、wrestle、hasten、glisten、bristle ——すべて同じパターン
なぜこの単語たちだけなのか
綴りをよく見ると共通点が見えてきます。t の前が s、後ろが en(鼻音 /ən/)か le(側音 /əl/)で終わる音節です。つまり t は /s/ と鼻音・側音のあいだに挟まれています。
/s/-/t/-/n/ を一つずつはっきり発音してみてください。舌先は /s/ のために歯茎に触れ、同じ場所でもう一度 /t/ のために触れ直し、そのあとすぐ鼻音 /n/ へ移る——一つの音節の中で同じ場所への動作を二度やることになります。英語はこの無駄を省き、/s/ から直接鼻音・側音へ滑らせます。これは怠けているのではなく、舌が同じ位置に二度素早く戻れないという物理的な制約から生まれた規則で、ネイティブは子どものころからこう発音しており、誰も「t を落としている」とは感じていません。
もう一つのグループ:フランス語由来で語末の t が無音
英語にはフランス語から借りた単語群もあり、綴りには語末の t が残っていますが、フランス語はもともと語末の子音を発音しないため、英語もその習慣を引き継いでいます。
- ballet /ˈbæleɪ/
- buffet /bʊˈfeɪ/ ——アクセントは後ろの音節
- gourmet /ˈɡʊərmeɪ/
- valet /ˈvæleɪ/
ここに落とし穴があります。同じ綴りの buffet でも、「食器棚」という家具の意味では t を発音して /ˈbʌfɪt/ になります。この意味の方が英語に入った時期が早く、すでに英語化された発音になっているためです。綴りだけでは t を読むかどうか判断できず、その単語の由来まで知る必要があります。
練習方法
listen で試してみましょう。まず /s/-/t/-/n/ をゆっくり三拍に分けて発音し、舌が同じ場所に二度触れる不自然さを感じてください。次に /s/ から一気に /n/ へ滑らせ、途中の動作を省略します。castle や whistle も同じ要領で、着地点が /l/ に変わるだけです。
どの単語で t を発音すべきか、強勢はどこか——PHONO はカメラを向けるだけで、英文を単語ごとに IPA で表示し、米英どちらの音声も聞けます。
ダウンロード:https://apps.apple.com/us/app/phono-english-phonetics-ipa/id6783243417 · phono.douhouse.com