think のつもりが sink に聞こえる——自分では違いがわからない /θ/ と /s/
think と sink、自分で発音していると同じ音に聞こえます。でも聞いている相手にとっては、まったく別の単語です。英語学習でいちばんよく指摘される発音の落とし穴のひとつですが、知っているのに直らない人が多いのも事実。それもそのはずで、この二つの音は本当に近く、「たくさん聞けばわかる」というものでもありません。
どちらも「シュー」という漏れ音。違いは舌の位置だけ
/θ/(think、thin、thank の th)も /s/(sink、sin、sank の s)も摩擦音です。息を完全には止めず、狭いすきまから絶え間なく押し出すことで音を作ります。この点はまったく同じなので、耳がこの二つを同じ音として処理してしまいやすいのです。
本当の違いは舌先の位置にあります。
- /θ/:舌先が上の歯の裏に軽く触れる、あるいは上下の歯のすきまから少し出る。歯のあたりから息が漏れ、音は柔らかくこもった印象——ただの息漏れに近い。
- /s/:舌先は上の歯のすぐ後ろ(歯茎)に収まり、舌の両側が上の歯の内側にぴったり当たって、真ん中に細い溝ができる。そこから高速で息が押し出され、鋭く明るい音になる——蛇の「シャー」という音に近い。
「柔らかい息漏れ」と「鋭いシュー音」——これが /θ/ と /s/ の質感の違いで、意識して聞けばはっきりわかります。
読み比べてみてほしいペア
- think /θɪŋk/ vs sink /sɪŋk/
- thin /θɪn/ vs sin /sɪn/
- thank /θæŋk/ vs sank /sæŋk/
- mouth /maʊθ/ vs mouse /maʊs/
- path /pɑːθ/ vs pass /pɑːs/
- worth /wɜːθ/ vs worse /wɜːs/
- thumb /θʌm/ vs sum /sʌm/
どのペアも母音はまったく同じです。単語を分けているのは、子音が「柔らかい漏れ」か「鋭いシュー音」かだけです。
自分でできる確認法:片耳をふさいで音量を比べる
/s/ は狭くて速い通り道から息を出すので、摩擦音が大きく響きます。片耳を軽くふさいで sink と言ってみると、はっきりと鋭い「シー」という音が聞こえるはずです。同じように think と言うと、明らかに音が小さく、こもった感じになります。/θ/ のすきまは /s/ より広く、息の勢いもそれほど強くないからです。
もうひとつ、目で確認する方法もあります。/θ/ を発音するとき、舌先が歯の縁に触れている(あるいは見えている)はずです。/s/ のときは舌先は口の中に収まっていて外から見えず、舌の両側だけが歯に押し当たっています。鏡の前で think と sink を言い比べ、舌先が見えるかどうかをチェックすると、耳で聞くよりも判断しやすいことがあります。
練習の順番
まずは分かりやすいペアから。think / sink を、ゆっくり交互に10回。1回ごとに、舌先が外に出ていたか、口の中に収まっていたかを確認します。安定したら mouth/mouse、path/pass へ。最後に文で試します。「I think the mouse is worth more than that」——think、mouse、worth が一文に交互に出てくるので、1語ずつ確認して、どこかでもう一方の音に滑っていないかチェックします。
自分の th が s になっていないか不安なとき——PHONO はカメラを向けるだけで、英文を単語ごとに IPA で表示し、米英どちらの音声も聞いて比較できます。
ダウンロード:https://apps.apple.com/us/app/phono-english-phonetics-ipa/id6783243417 · phono.douhouse.com