なぜ want は「ワント」と読まないのか——w のあとの a に隠れたルール
want、watch、wallet。単語自体はとっくに覚えているのに、発音になると cat の a と同じ /æ/ で読んでしまっていないでしょうか。実はこれらの単語の a は、まったく別の音になります。
綴りの中に隠れたルール:w の直後の a は変身する
英語には、w(または qu、実質は /kw/)のすぐあとに a が来ると、その a が /æ/ ではなく、イギリス英語では /ɒ/、アメリカ英語では /ɑː/ に変わる、という小さいけれど頻出のグループがあります。
- want:英 /wɒnt/、米 /wɑːnt/ — cat の a とは違う音
- watch:英 /wɒtʃ/、米 /wɑːtʃ/
- wash:英 /wɒʃ/、米 /wɑːʃ/
- wallet:英 /ˈwɒlɪt/、米 /ˈwɑːlɪt/
- swan:英 /swɒn/、米 /swɑːn/
- squash:英 /skwɒʃ/、米 /skwɑːʃ/
- quality:英 /ˈkwɒləti/、米 /ˈkwɑːləti/ — qu も実質 w と同じ扱い
共通点に注目してください。どの単語も w(または qu)で始まり、そのすぐ後に a が続いています。これは偶然ではなく、実際に存在する綴り→発音のパターンです。
なぜこうなるのか
これは音変化の名残りです。丸めた唇で出す /w/ の音が、直後の a を後方に、そして丸めた方向に引っ張り、それがそのまま定着したのが今の発音です。歴史を覚える必要はなく、条件だけ覚えれば十分です——w/qu + a + 子音。
ルールには境界線もある:g・k・ng の前では発動しない
a の直後が g、k、ck、ng のような軟口蓋音(のどの奥で作る音)の場合、このルールは止まり、a はふつうの /æ/ に戻ります。
- wag /wæɡ/(/wɒɡ/ ではない)
- wax /wæks/
- quack /kwæk/
- twang /twæŋ/
want と wag を並べてみてください。どちらも w + a で始まりますが、片方だけルールが発動します。違いは a の直後に来る子音が軟口蓋音かどうか、それだけです。
もう一つの例外:water はこのルールの外にいます。英 /ˈwɔːtə/、米 /ˈwɑːtər/(フラップが入りやすい)——/æ/ でも上のルールの /ɒ/ でもなく、/ɔː/ という別の母音です。これは単独で覚えるしかありません。
このルールの使い方
w または qu で始まり、その後に a が続く未知の単語に出会ったら、a の直後の子音を確認してください。軟口蓋音(g/k/ck/ng)なら /æ/ のまま、そうでなければ /ɒ/ か /ɑː/ を選びます。単語を一つずつ暗記するより、ルールを一つ立てるほうが、まとめて何十語も片付きます。
ある単語の a が /æ/ のままなのか、w に引っ張られて変わるのか——PHONO はカメラを向けるだけで英文を単語ごとに IPA 表示し、米英どちらの音声も聞けます。
ダウンロード:https://apps.apple.com/us/app/phono-english-phonetics-ipa/id6783243417 · phono.douhouse.com