that は最初に覚えた単語なのに、読み方が二つあることを誰も教えてくれない
that はおそらく、あなたが最初に覚えた単語のひとつです。辞書には /ðæt/ とだけ書いてあり、ずっとその読み方で通してきたはずです。でもネイティブは、文の中でこの単語が果たす役割によって、まったく違う読み方をします。しかも半分近くは /ðæt/ ではありません。あなたはこの単語の音をひとつも間違えていません。ただ、that という同じ綴りの下に、実は性格の違う二つの単語が隠れていることに気づいていないだけです。
役割その一:指示代名詞——それ自体が意味なので、しっかり読む
that が具体的な何かを指し示していたり、単独で文の要素になっているとき、それは意味を運ぶ実質語です。取り除くと文が壊れるか、意味が変わります。このタイプの that は常にはっきり、ストレスをつけて /ðæt/ と読みます。
- I want that. /aɪ wɒnt ðæt/ ——何かを指さしている
- That's incredible. /ðæts ɪnˈkredəbl/ —— that が主語で、直前の話を受けている
- Give me that book, not this one. /ðæt bʊk/ —— 「あっちの本」と対比している
これらの文では、that を消すと意味が壊れます。意味を運んでいる語だから、弱くはなりません。
役割その二:文法上の接着剤——ほとんど強く読まない
that が節(目的語節や関係詞節)を導くとき、それは何かを指し示しているわけではなく、二つの節をつなぐだけの文法標識です。意味を持たないので、英語の「強勢のない語は弱化する」という一般ルールに従い、/ðət/ につぶれ、しばしばまるごと省略されます。
- I think that she's right. /aɪ θɪŋk ðət ʃiːz raɪt/ —— "I think she's right" と言っても意味は同じ
- He said that he'd call. /hi sed ðət hiːd kɔːl/
- the man that called /ðə mæn ðət kɔːld/ —— man を受ける関係詞節だが、that 自体は強く読まない
見分け方:消してみる
どちらのタイプか迷ったら、簡単なテストがあります。その that を文から消してみて、意味がそのまま残るかどうか。
- 消しても意味が残る → 文法上の接着剤 → 弱く /ðət/、あるいは省略
- 消すと文が崩れる/意味が変わる → それ自体が内容 → しっかり /ðæt/
"I heard that you moved." で試すと、that を消しても "I heard you moved" は完全に成立します。このタイプは弱く読むべきです。一方 "I can't believe that." の that はある出来事そのものを指しているので消せません。このタイプはしっかり読みます。
一つの文の中に両方現れることもある
- That's the book that I told you about.
- /ðæts ðə bʊk ðət aɪ təʊld juː əˈbaʊt/
最初の that は指示代名詞で「あの本」を意味するので、強く・はっきり読みます。二つ目の that は関係詞節を導く接着剤なので弱く、しかも省略可能です:"That's the book I told you about." でも問題ありません。同じ綴り、同じ文の中で、一方は重く一方は軽い——ネイティブがこれを混同しないのは、そもそも「同じ一つの単語」として処理していないからです。
練習の方向
that が出てきたら、まず「消せるかどうか」を自分に問うこと。消せるなら軽く、速く、あるいは飛ばして読む。消せないなら book や like、restaurant のような実質語と同じように、しっかりした形で読む。英語の強勢は適当に置かれているわけではなく、その語が本当に意味を運んでいるかどうかに従っています。that はそのルールが一つの文の中で切り替わる様子を、いちばんはっきり見せてくれる単語です。
どの語を強く読み、どの語を弱く読むべきか——PHONO はカメラを向けるだけで、英文を単語ごとに IPA(弱形・連結・強勢つき)で表示し、米英どちらの音声も聞けます。
ダウンロード:https://apps.apple.com/us/app/phono-english-phonetics-ipa/id6783243417 · phono.douhouse.com